親の権威

 2歳にならない小さな子でも、驚くべき強情な行動を取ることがあります。親の権威、リーダーシップを試そうとするかのようです。そのような行動が現われたときに、親が毅然とした態度で応対しないと、その後のしつけはイエローカードでしょう。次ぐに文章は、ある女の子をお持ちのお父さんの例です。

 

『長女が、まだ1歳と数カ月の時のことです。夕食の時間、彼女はまだ普通の椅子に座れないので、テーブルの縁に引っ掛けるパイプと布で出来た椅子に座って、お皿の上のハンバーグを食べていました。すると突然、彼女はそれを手でつかんで、床にポトリと落としたのです。何かの間違いだろうと思い、私は自分のハンバーグを小さく切ってお皿に載せてやりながら、「今度は落とさないでね」と言いました。ところが、娘は私を上目づかいチラッと見てから、何とそれも床に落としたのです。「さあ、どうする?」とでも言っているかのようでした。

私には、これは明らかに親への挑戦だとわかりましたから、すぐに娘の小さな手を私の手のひらに乗せてピシャリとたたきました。「ごめんなさいは?」しかし、彼女は謝りません。そこで私は娘を椅子から引き出して、2階の部屋に連れて行き、しばらくここに入っていなさいとドアを閉めました。大きな泣き声が聞こえてきましたが、私は10分ほど外で立っていました。

泣き声が小さくなった時、中に入ると、娘は「ごめんなしゃい、ごめんなしゃい」と言いながら私にしがみつきました。私は娘を抱き上げてやりました。この出来事の後は、娘があからさまに反抗的な態度を見せることはありませんでした。』

 

かわいい子が、ある日突然親の顔色をうかがい悪さをするようになる。これを成長のしるしとして受け止め、「まあいいか」と流してしまうとしたら、しつけの大切な機会を失ってしまうことになるのかもしれません。親の権威への明らかな挑戦に対して、「まあいいか」は将来危険な結果を招くことになります。親を親と認める大切な学習機会を、毅然とした態度で応じてあげないことは、子どもにとって不幸な結果になるのです。親の権威に逆らうことをしたら、しっかりと叱ってあげる。このような事を通して、子供はルールを身に付け、親への尊敬を身に付けて行くのです。「かわいい、かわいい、まあいいか」だけで子育てをしてしまうと、後になって大きなつけを払うことになるようです。